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ール・スプーナーの出現
日本、フランス、スイスのからくり人形は、十八世紀の時代に全盛期を迎え、歴史に残る名作を数多く輩出しました。しかし、現在のオートマタ(現代からくり人形)は、その活躍の場を英国に移しています。その理由は、まず前述の3カ国では後進のからくり作家が育つ社会的素地が希薄になったことがあげられます。

つぎに英国に生まれた新しいスタイルのオートマタの登場です。現在も活躍する美術家でありオートマタ作家であるポール・スプーナー/Paul Spoonerによって、オートマタというひとつのジャンルでは間に合わないほどの世界観が彼によってもたらされたのです。

そして、ポール・スプーナーの作品に惹かれオートマタ作家を目指す人達や、コレクターは、英国だけでなく世界中に沢山目にするようになりました。もともとはグラフィックデザイナーやアニメーション作家として生計をたてていた人達が、ポール・スプーナーの作品に出会い、からくり人形のプロになった例は少なくありません。

彼らの作品は、木や真鍮などを素材にした素朴なものばかりですが、精密で高度な仕掛けによって、ひとつひとつの人形がまるで“ひとの心”を持ち合わせているかのように、ユーモア溢れる楽しい動きを見せてくれます。

また、からくり人形を駆動させる心臓部であり企業秘密でもあったメカニズムのすべてを、開示したことが最大の特徴であり、それまでのからくり人形づくりとは全く異なった思想を与えたのです。
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