男があろうことか、バスタブでスパゲティを食べています。 よく見るとジャグジーからスパゲティとトマトソースが流れ続けてもいます...
この作品のに対する感じ方はご覧になる方々の自由だと作者は言い放ちます。
しかあえて解釈をいたしますと、人類の飽食やフードロスをテーマにしているということが
わかります。
2作目になるとテーブルと椅子はそのままだが男は下着姿に変わる。
そして本作ではとうとうこのバスタブの登場となるわけです。
今はもちろんそんなことはないが(一部あるけど)、英国人の食文化には他国からの流入を嫌う文化が根強く、イタリアから渡ってきたパスタ特にスパゲティを忌み嫌った時代が少しあったと聞きます。
それは味が良いとか悪いとかではなくて、上手に美しく食べられるかどうかが脅威であったから(らしい)。
人目を忍んでスパゲティを食べる練習にいそしむ、当時の英国人の姿をポール・スプーナーは想像し作品化したわけですね。
もっともポール・スプーナーは、食文化に限らずまた英国人に限らず、その時代に生きる人々のライフスタイルや社会通念といったものを極めて冷静に観察し彼独特のユーモアを武器に、皆がありがたがるライフスタイル崇拝といった既成概念の滑稽さを風刺し続けている作家であることが理解できるのではないでしょうか。
さらに言えば、次の作品にも同様のことをみてとることができるわけです。
この作品は、英語の慣用句「無駄な努力=死に馬に鞭(痩せ馬に鞭)/Flogging a Dead Horse」からヒントを得て作られました。 つまり、死にかかった馬に鞭をいれるという行為は“無駄”であるし、そのような行為に及ぶ者は人間にあらず(だからガイコツなんですね)という“無駄“という言葉=概念がいかにおぞましいことであるか、ということを具象化して見せているのです。 世界語となった”過労死/karoushi”を彷彿とさせます。
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