そこでは連日、ポール・スプーナーの作品動画を放映しています。いくつかの動画の中でも見どころは何といっても「ビッグ・ヘッド」です。
大きな頭(顔)が左右真っ二つに割れます。すると頭の中で、男が若い女性の首を絞めているショッキングなシーンが繰り広げられ、彼らの周囲のではニワトリや豚やロバが「やめろ!」と声(鳴き声)を発します。
やがて、先ほどまで首を絞めていた男は頭を抱え、若い女性は花びら占いをしているという動から静へと内容がガラリと変わるのです。
ビッグ・ヘッドの頭の内側では、動と静、つまり躁と鬱の関係性を2つの場面で表しているのです。この複雑な構成は、まるで周り部隊のような仕組みになっています。
作品内側に縦横に巡らせた無数のパイプによって圧縮空気を送りこみ動力としている様子を窺い知ることができます。
念ながらこの作品は、イギリスのヨークにあったオートマタを常設とした博物館が閉館した際にフランスに渡り、その後はぷつりと行方がわからなくなってしまいました。 会場まで足を運んでくださったのであれば、展示物だけでなく是非この幻の大作もご覧いただけたらと思います。 ©MOLEN
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