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執筆者の写真Hal Furuta

モーレン・オートマタ修理工場


弊社の「オートマタ展覧会」は次の点でよく誤解されることがあります。それは「購入作品は、最初からアクリルガラスケースとモータ―が付いており、単にそれらを展示会場に並べているだけ」。 もちろん、それは事実とは異なります。順を追ってご説明いたしましょう。まずアクリルガラスケース。作品ごとにアクリルガラスのサイズを調整し地元新潟の職人が制作しています。次にモータ―ですが、こちらも日本製。専門用語で恐縮ですが、サーボモーターとよばれるものを使っています。 モータ―には、作品に合致したトルク、回転速度が求められます。まず最初に大きくは、パワーの大小で2種類に分別されます。 その2種類のモーターは更に速度別に各々16種ありますから、つまりこの時点で選択肢は32になります。その他にも正回転(時計回り)か、逆回転か、を選ぶことになりますから、先ほどの32の選択肢にこの回転方向の選択を加味すると合計64銘柄のモーターの中から選び出すこととなるわけです。 もちろん選択肢が多いことは作品を優れた状態で観て頂くために大変良いことですし、そのためには適正なモーターを選択する作業は、納得がいくまで続けられます。根気と時間を必要としますが。 もっとも他にも手が無いわけではないのです。モーターの外側に減速装置を取り付けるというやり方です。しかし、これはギヤ音が漏れ出し雑音になるという短所があるので弊社では行っておりません。 最後に、作品のメンテナンスについてお話ししたいと思います。オートマタ作品の材料は主に木材です。木材とひとくちで言っても複数の種類が使われています。木材の種類材質各々の湿気による膨張度合は当然異なりますから、部品の触れ合う部分=摩擦、摩耗などがトラブルの原因になりがちです。 特に若い作品=新しい作品=の場合に顕著です。ご覧いただいている写真はポール・スプーナー氏の「ラッキー・キャット」を修理の様子を撮影したものです。作品の外枠・内枠とそれに関係する部品類だけの修理で終わる予定でしたが、ついには歯車やカム、シャフトの単位までバラバラに分解せざるを得なくなりました。 金属シャフトが通る木製部品の穴には、あらかじめ軽く棒やすりをかけオイルで滑りをよくし、グリースを注入しながら滑りを調整。幸い想像したような効果をみることができました。 分解作業からここまでおよそ3時間半。途中で作業を中断してしまうと、分解していた部品の位置を忘れることもあるので、途中経過をiPhoneで撮影しながらの作業を進めます。 手に油がついていたりするので撮影はとても煩わしいですし、集中力を損なうので問題もあるのですが、後々、手順を後戻りして改善策を考えるときに画像が必要になることもあるため外せない作業なのです。 最後までお読みいただきありがとうございました。この記事がオートマタのメンテナンスをお考えの方に少しでも役に立てれば幸いです。



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