これまで全国の公設館を中心にオートマタ=からくり人形の展覧会を開催してきました。 その中で、もっとも人気の高い作品は?と聞かれることが多いのですが、実はこの作品ですと正直に答えると意外な顔をされることが多いことは事実です。それは質問される方が大人だからでしょう。 最も人気が高いといっても、子どもを含めた来館者全体ということなので、言い換えれば子供たちに最も人気がある作品ですと言い換えなければいけないのかもしれません。ただし姿かたちが真っ赤なドラゴンだから、つまり恐竜をイメージさせるからという理由ばかりではありません。 この作品も他と同じようにアクリルガラス・ケースに収められているのですが、そのケースの内側で羽を広げ、口を大きく開けて、ギー・ギーと鳴き、見ようによってはまるで生きているかのようにも。 種明かしをすれば、この鳴き声=音が出る仕掛けは、人形そのものにあるわけではなく、羽がケースにあたる音であったり、作品の駆動部に使われる竹ひごが紙と擦れる音であったりと偶然の産物なのです。 *動画はYouTubeでご覧いただけます▶https://www.youtube.com/watch?v=NiUg6iWS6f8 こうしたことは意図的に演出として出来るわけではありませんから、大変に面白いものだと自分でも感じることがあります。この作品に関わらず、子供たちにつと人気のある作品群があります。それは何だかわかりますか? 実は、ペーパーカラクリ(オートマタ)なのです。 はたで見ていて感じるのですが、木製よりは紙製のそれのほうが色合いが鮮やかであること、動きがしごく単純であること(つまり理解しやすい)、子供向けの親しみやすいキャラクター(ニワトリであったりブタだったり)であることの3点が挙げられます。 では大人に人気の高い作品は? それはまた別な機会に。