腹話術師/Ventriloquist
ポール・スプーナー/Paul Spooner
1968年に作られた「言葉を任意組み合わせる」スロットマシンのオートマタがあります。作者のポール・スプーナーは新しい発想によって「言葉を無作為に組み合わせる」機械を考えついたのでした。それは、この作品の序章にすぎませんでした。 発端は、驚くべき言葉の混淆を意図し巧妙に設計しようと考えたことに始まります。例えば、単純に言えば、語順によって短文を作るということです。名詞、動詞、名詞、の組み合わせで言えば、CAT EATS DOG?(ネコは犬を食べますか?)とか、ROBOT LOVES BACTERIA?(ロボットはバクテリアを愛しますか?)などと普段は思いもしない奇抜な発想を体験させてくれるわけです。 これはいかに私たちが、単語に付着する無意識なる固定観念というものを意識させることに繋がるでしょう。この機械に関しては、マルクス兄弟が、ルーファスT.ファイアフライと呼ばれるキャラクターを演じた1933年映画がヒントになっています。
作者は、これと同じように不合理な名前を生みだす機械を作ったら、楽しいだろうと考えさらにそれを腹話術の人形にさせることを思いつきました。それがこの作品です。ファーストネーム、ミドルネーム、ファミリーネームの無作為な抽出における混沌を楽しむ機械であり機会なのです。
知った人の顔を思い浮かべたり、歴史上の人物に近い名前だったりすることで想像力をかきたててみませんか。
MOLEN