12月3日から始まります八王子市夢美術館「イギリスからくり玩具展」の準備に追われています。 写真はマット・スミス作”シークレット”です。ガイコツが顔を上下させ、目玉をギョロギョロさせながら、両手の巻物を左右に開きます。するとあばら骨の間から透ける心臓がドキドキしはじめます。 巻物を開き、そして閉じるという動作は簡単そうでかなり技術を要するものと思います。今日は、そこではなく目玉の部分にフォーカスをあてます。展示会場では、ガイコツの頭がひらくとは思えないほどよく出来ているのですが、実はこのように開けることができます。
目玉を動かす仕組みはご覧のように針金を使って制御していますが、それが今回うまく作動せず修理することにしました。目玉を左右にうごかすための部品が頭蓋骨(頭骨)の鼻に近い部分にあたっていたことわかり、そこを彫刻刀で削りることで干渉をなくし、スムースに動くようになりました。 この原因は、頭蓋骨を形成する木が湿度によって膨らんだことにあります。そこを改善してあげることで動きがもとに戻りました。木製なので、湿気による膨張が摩擦を生むことはよくみられる現象ですが、こうして削ったり、少し部品の位置をずらすなどで直ることがあります。 ©Matt Smith