この画像は弊社で「機構の壁」と名付けている”展示物”のひとつです。1点の大きさは、高さ2.4m、幅は0.9mあります。5種類あって各々の間に0.45~0.9mのつなぎ壁を挟むことになるので(繋ぎ壁のサイズは、会場スペースで変わります)、全体の幅は約7m~10mほどになります。この場合、つなぎ壁をなくして機構どうしを設置すると、カラフルな色合いがお互いのよさを打ち消しあってしまいます。そのため間に0.45~0.9mの壁を挟み込むことが多いのですが、単に見た目だけを配慮しているのではなく、ハンドルを回す際に隣との十分なスペースを確保し安全性と安定感を出す目的を含んでいます。設置には、この写真のようにかなり厚みのある本体をさまざまな部品で作り上げていることに気づかれるかと思います。大きく分類すると、本体、内枠、外枠、アクリルガラスの4点です。それを毎回、会場で組み立てています。ハンドル自体は、見た目とは裏腹にビックリするほど軽く回るのですが、小さなお子様などは、回すのではなく押したり、引っ張ったりすることもあるため、壁の安全性を保つため、裏側に普段は本体を収納するかなり重量のある搬送箱(収納箱)をL字金具や垂木を用いてビスでしっかりと固定させます。そのほかに”人形”と呼ばれる突っ張り棒のようなものを、機構の壁の各々両端に設置し、砂袋等々のウェイトを置き、更に太さのある強度の強い針金で壁全体を、天井・床に結び付け固定させます。機構自体はとてもデリケートなものなのですが、展覧会では乱暴に扱われることも想定していますので、本体も壁もかなり頑丈な作りにしてあります。設置のための作業には、多くの人員と手間をかけ慎重に行いため、設置作業に数時間を費やすことが通常です。この機構の壁とは別に、卓上型の機構模型も数十点、必ずセットで設置しています。それもやはり専用の什器を用いています。また科学館と美術館・博物館では仕様を変えますが、そのため什器類と部材がどうしても多くなり、一定の保管(倉庫)スペースが必要となります。ビジネスとして捉えると、什器の制作費だけではなく、先に触れましたが設置するための人件費の他、この保管スペースにかかる固定費等相応のコストがかかる演出ですが、それでも会場演出にこだわりを持つ意味は、安全性は勿論、会場に足を運んでくださるお客様に、満足度の高い展覧会を提供するために必須であると考えるからです。弊社の企画展履歴をご覧いただくとおわかりいただけるのですが、1会場で何度か弊社のオートマタ展を採用していただいている会場は少なくありません。それは、ご採択いただく展示会場のスタッフ皆様方だけでなく、ご来場いただくお客様からの反応の良さが反映された結果だと自負しております。お客様の反応というのは、ご来館者数、リピーター、SNSの反響等があげられますが、重要なのは会場に用意された「アンケート用紙」に投じられた(弊社展覧会への)ご意見ほぼすべてが好意的なものであるということに尽きると考えております。