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執筆者の写真Hal Furuta

独学で「時計の仕組みを紐解いた」青年の話

更新日:2020年10月9日


「輪列」(りんれつと読みます)を調べる必要に迫られて、ずいぶん前に購入して読んだ『機械式時計・解体新書|監修:本間誠二さん』を書棚からひっ張りだして読み返してみた。

そこだけ読み返したが、十分に理解できず、仕方がない...とうとう最初から読み返した。それで、かなり頭がつかれた。加齢が原因だろうが、この書籍は決して簡単な内容ではないのだ。*それでも、なんと、この書は「初心者向け」として出版されているようなのだ。

今年の夏、上越科学館の展覧会で「書き時計」を展示させてもらった。そのご縁で、作者の鈴木完吾氏とお話しをする機会があった。強く印象に残った言葉に「時計の仕組みは、ほとんど独学で学んだ」というものがある。 時計とその仕組みに関する書籍は、先に触れた以外にも数多もあるが、いずれも一度や二度読んだからと言ってすぐに理解できるものではない。それでも鈴木さんは、何冊も難解な書籍を読破したという。 しかし読んでみて理解できなかった事柄をどう解決していたのだろうか?今の時代はインターネットがあるにせよ、必ずしも必要とする知識を見つけ出せるとは限らない。「試行錯誤の連続だった」らしい。 「何冊か読んでみて、最初わからなかったことが、わかるようになった」とも聞いた。 独学で歯車の迷宮から脱出できた喜びはいかがであったのだろう。凡人には理解し難い世界だ。

また、時計の基礎となる知識を習得することと、それを生かして”時計=書き時計”を作る技術は、まったく別物である。そう考えると、気が遠くなりそうなほどの難問題が、彼の前に立ちふさがったに違いない。 こうした難行苦行(鈴木さんはそう思っていないフシがあるけど)を乗り越え、たったひとりで「書き時計」を作りあげた。

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