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ムーン・サイクル /Man in the Moon Cycle
ステファン・フォルクナー/Stephen Faulkner
自転車をこぐ男の動きに合わせて、背中に背負った大きな時計がゆっくりと動き出します。
内部に仕込まれた月は、その周期に沿って静かに軌道を描きます。
タイトルは、自転車の「サイクル」と月の満ち欠けの「サイクル」を重ねた言葉遊びです。
運動と時間、身体と天体のリズムが、ひとつの装置の中で結びついています。
作者であるフォルクナーは、もともと時計のデザインに携わっていた経歴を持ちます。
本作に見られる精密な構成や時間表現は、その背景を感じさせるものです。
真鍮を用いた機構は複雑でありながら、ラチェットと歯車の組み合わせによって負荷を抑え、
滑らかな動きを実現しています。
やがて、しばらく自転車をこぎ続けると、時を告げる鐘が鳴り、灯籠に明かりがともります。
そうした細やかな演出が、この作品に静かな物語性を与えています。
重厚な時計を背負い、天体の運行を司るかのようにペダルを回し続ける男の姿。
その光景は、時間と人の関係を、真鍮の輝きの中に静かに映し出しているようにも見えます。


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