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ドラゴン/ Dragon|キース・ニューステッド
本作は、真鍮の機構によって成り立つドラゴンです。
この作品の本質は、造形そのものではなく「運動」にあります。
ハンドルを回すことで、分解されていた複数の機構は一つの連続した動きへと統合されます。
個々の歯車やリンクは本来独立した部品に過ぎませんが、それらが連動することで、空間の中にうねるような動きが姿を現すようです。
ここで重要なのは、このドラゴンがあらかじめ完成された「像」として存在しているのではない、という点です。
静止した状態では冷たい金属機構の集合体にとどまっていたものが、運動によって初めてひとつの生命体として現れます。
この意味において、本作は「動きそのものによって成立する彫刻」であるといえるでしょう。
鋭い棘や巻きひげといった装飾的要素と、露出した駆動部とのあいだに境界はなく、構造は隠されることなく視覚化され、造形と機構は分かちがたい一体のものとして提示されています。
キース・ニューステッドはここで、ドラゴンの形態を再現しようとしたのではありません。運動の連続によって、ドラゴンという存在が生成されていく過程そのものを提示しているのです。


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