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手荒なおもてなし/ PTrea'tem Rough|ポール・スプーナー/マット・スミス

2000年制作 素材|木と金属

本作は、ネズミがネコを逆さまに立たせて調教するという、自然界の力関係を鮮やかに反転させた場面を描いた自動人形です。

 

ハンドルを回すと、台座内部に仕込まれた「ふいご」に空気が送り込まれ、ゆっくりと膨らんでいきます。
この空気の膨張がネコの後ろ足を持ち上げる力へと変換されることで、通常の歯車による駆動では得られない、滑らかで連続的な運動が生み出されています。

 

この空気圧による動きには、機械特有の断続性がほとんど感じられません。
ネコの身体は、自身の意思とは無関係に、抗いがたい力によって持ち上げられていくかのように見えます。
その結果、ネコは抵抗する間もなく、従属的な存在として扱われる状態に置かれます。

 

モチーフとなっているのは、ネズミが指導者のように振る舞い、本来は強者であるはずのネコを従わせるという「立場の反転」です。しかしこの作品の関心は、単なる逆転の面白さにとどまりません。

私たちが当然のものとして受け入れている上下関係や力の配置が、条件次第で容易に入れ替わりうることが、ここでは具体的な運動として示されています。

 

柔らかな空気の力とシンプルな構図によって、権威や支配といった関係が固定されたものではないことを見せてくれているようです。本作は、目の前の関係の背後にある不安定さを、軽やかなユーモアをもって表した作品といえるでしょう。

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