top of page

無駄な努力/Flogging a dead horse|ポール・スプーナー/マット・スミス

何とも空しいタイトル。ですが、実は英語の慣用句なのです。
死にかかっている馬を鞭(むち)で叩いても無駄であり、
済んでしまったことは覆すことができない。

だから「無駄な努力」だというわけです。

少し詳しい解説をご希望の方向けに下に記しました。
よろしければ、お読みいただければ幸いです。


極めて珍しいほどの歯車の節約術は、スプーナーの自動人形の世界でしばしば、
見られるものです。
おなじみと言っても良いかもしれません。

しかしその節度ある仕組みの中から、思いがけない動きが私たちを驚かせます。

まるで目に見えない舞台が、そこに開かれたかのように。
 

動きは簡素ですが、どこか生命の気配を帯びているところが不思議です。
 

忘れてはならないのは、
ハンドルを回しているのが、ほかならぬ私たち自身だということ。


そこには隠されたものは何もありません。
歯車も、レバーも、すべては目の前に披露されています。

 

それでも私たちは、いつの間にか物語の中へと導かれてしまう。
巧みに騙されているわけではありません。


まるでキャラクターたちが、観る者のために何かを演じているように
感じられることがありませんか。

 

この作品の中には、馬と骸骨(ガイコツ)のあいだに奇妙な共犯関係が存在しています。
死んだふりをする馬と、生きているふりをする骸骨。

 

どちらも本当ではなく、どちらも嘘とも言い切れない。
その曖昧(あいまい)な領域こそが、スプーナー劇場の舞台だと言えるでしょう。

 

スプーナーはここでも、生命と不在、演技と真実の境界を、
作品のなかに忍び込ませました。

 

そして私たちは、機構を動かしているつもりでいながら、
いつの間にか自分自身の意識を動かされていることに気づくのです。

 

まさに、そこにはスプーナーの「機械仕掛けの諧謔(ジョーク)」の真髄があるように
思えるのです。

上の画像をクリックするとデジタル書籍「ポール・スプーナーの世界2」の説明画面を開くことができます。

bottom of page