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映画「鑑定士と顔のない依頼人」に登場するオートマタの謎?

  • 執筆者の写真: Hal Furuta
    Hal Furuta
  • 2016年4月9日
  • 読了時間: 2分

更新日:2020年10月22日


2年前の9月、FBにジュゼッペ・トルナトーレ監督の「鑑定士と顔のない依頼人」に登場するオートマタについて書きました。沢山の反響があり驚いたものです。ということで、もう少しだけ、この映画に登場するオートマタとの関係性について語ってみたいと思います。

映画では、まず冒頭のシーンが観る者へ強い印象を与えています。それは主人公が夕食をとる場面なのですが、手袋を嵌めたままでナイフとフォークを器用に操って食事をするという大変に奇妙なものでした。物語の中では、主人公の潔癖症がその理由だとされています。果たしてそれだけだったのでしょうか。

彼の自宅には、ある秘密の小部屋があります。その部屋は入口とわからぬように、手袋の陳列棚擬が隠し扉に設えられています。後で詳しく述べますが、トルナトーレ監督が手袋に拘っていたことをここから読み取ることができるのです。

さて手袋と秘密の部屋が意味する深部をオートマタと絡めて考えると、次の推理が浮かびます。主人公ヴァージルが復元しようとするオートマタがジャック・ヴォーカンソン(Jacques Vaucanson)と関係するところに隠されています。

ヴォーカンソンというオートマタ作家は、手袋職人の子として生まれ、後に時計職人を目指していたという記録に私達は注目しなければいけません。それは映画が手袋のシーンから始まり、最後は歯車で終わることで確信を得ることとなります。

話を秘密の部屋に戻しましょう。その意味するところとはヴォーカンソンが作った「消化するアヒル」という作品と大いに関係があると言えます。「消化するアヒル」の注目すべき一節がこれです。

『アヒルは400点の可動部品で構成され、羽ばたくことができ、水を飲み、穀物をついばんで消化し、排泄することができる。 ヴォーカンソンのアヒルは確かに消化を正確に実演してみせたが、実は「消化済みの食物」を格納した小部屋が内部にあり、アヒルが食べた穀物を消化して排泄したわけではなかった。 そのような「詐欺行為」は時折問題とされるが、後援者となる金持ちや有力者を楽しませるという意味ではそれで十分だった。(ウィッキペディア)』

まさに、この映画の核心と繋がっているのですが、これ以上はネタバレになるのでこれで筆をおきたいと思います…アッ大事なことを忘れていました。この映画に使われたオートマタですが、オートマタ作家キース・ニューステッド氏が制作に関わっております。 *後日、この映画に使われたオートマタについてこのblogでお話ししてみたいと思います。どうぞお楽しみに。


MOLEN

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